旅立ちの時
出発当日の私は少なからずショックを受けていた。
efを見た衝撃、先日手に入れた最新作……社会人になればブランドごと追いかけることも考慮していただけに、喪失感は拭いきれなかった。
海外旅行を前に何を考えているんだコイツはというツッコミが聞こえてきそうだが、このことが遠くドイツの地における壮大な伏線になっていることに、当時の私は気付いていない。
それはさておき、バスで羽田に乗り付ける。友人との合流まで少しあるので、まずは散策。
国際便が初めてなのはもちろんだが、航空機の利用自体が7年ぶりというこの身、綺麗に整備されたと評判の羽田空港を回らない手はない。
21時ごろ、友人のA氏と合流。
この先3週間に渡って同行する相手だ、帰国した暁には互いの顔を見飽きているに違いない。
ごちゃごちゃの荷物を何とか検査にぶち込み、搭乗口へ。
今回選んだのはカタール航空のドーハ経由イスタンブール行き便で、初手から12時間のフライトだ。
機内が噂通りピンクなことを確認しつつ着席。
アメニティは噂通りの充実ぶりだ。また、タッチパネルに日本語が見え、スタッフにも日本人が2名いるとのこと。安心感を覚える。
日付も変わるころ、機体は無事に離陸。3週間に渡る長大旅行が幕を開けた。
行く先に待ち受けるは……。