ウィーン市内観光1
6:30、のそのそと起床。ちょっとばかり、身体の重さを感じる。
スポット参戦のB氏はともかく、ぼくとA氏は既に海外11日目だ。多少の疲れは致し方ないだろう。思えば、この大型旅行も半分を消化したんだなあ。
朝食。パン(主にクロワッサン)が美味しかった。
部屋に重い荷物をぶちまけ、いざウィーン観光。
昨日使ったSchottentor駅まで徒歩で向かう。昨晩に引き続き、今日も雨模様だ。
トラム停留所が上下2層のSchottentor停留所、地下鉄(Uバーン)2号線の駅はさらに下にある。48時間券という都合のいいチケット(14.1ユーロ)を購入し、ホームへ。
初回利用時は打刻機を通そう。
日比谷線みたいなの来た。架線とパンタはないけど。
「Volkstheater:フォルクス劇場」駅で乗り換え。
今度はUバーン3号線で1駅進み、「Herrengasse:ヘレン通り」駅で下車。ここは「リング」の内側にある駅で、ウィーンのど真ん中とでも呼ぶべき場所だ。
駅を出て南に行くと、すぐにホーフブルク王宮の敷地内に入る。その一角にあるのが……
このWiener Hofburgkapelle、王宮礼拝堂である。
カレンダーを見てもらえれば分かる通り、2019/03/10は日曜日である。つまり、ミサが行われる。
このミサではウィーン少年合唱団のコーラスが聴けるとあって、王宮の奥まったところでの開催ながら、多くの観光客を集めている。日本人もいっぱいいる。
チケットはその場で購入。今回は安めのチケット(17ユーロ)で、2階のバルコニー席を確保。
立ち席チケットもあるが、1時間ほどかかるので座席は欲しい。なお、1階の席は相応にお高いようだ。
9:15、ミサが始まる。コンサートではなく、あくまで宗教儀式なので、色々なお作法・手順がある。
例えば、客(参加者)同士で握手会が始まったり、寄付金を募る金属製の缶が回ってきたりという具合だ。その辺は流れに任せて、きちんと従おう。せっかくなので、私もお気持ちばかりの小銭を投下する。
少年合唱団は基本的に3階で歌うようだが、最後の1曲でお披露目がある。みんなでパシャパシャするので、シャッター音が撮り鉄集団並にうるさい。荘厳な教会で神聖なイベントをやっているはずが、このタイミングだけ俗っぽさ全開なのが面白い。
建物も自由に撮影もできるし、ドレスコードも厳しくないし、しっかり観光地化しているんだなあ。
さて、お次は王宮内の博物館に行こう。
ホーフブルク王宮の「銀器コレクション」「シシィ博物館」、それから「シェーンブルン宮殿」と、3箇所の入場券が一体になったシシィチケットを購入。学生27ユーロ(一般は29.9ユーロ)。
シシィはフランツ・ヨーゼフ1世(オーストリア皇帝)の結婚相手、エリーザベト皇后の愛称だ。日本で例えると、江戸城の入場券が「篤姫チケット」となっているようなものか。
まずは1階の銀器コレクションから。ここでは音声ガイドを借りることができる。
何とこの音声ガイド、日本語解説がある!
恐らく、日本語が達者な現地の方(若い声だった)が解説を吹き込んでいるのだろう。ありがたく使わせてもらおう。……録音のはずなのに、ところどころ噛んでいるけど。
なお、機械にはイヤホンジャックがあり、そこに自前の100均有線イヤホンをぶっ刺して聞いていた。持っていない場合は直接耳に当てて聞くようだ。
銀器コレクションについては撮影OKの模様。片っ端から見ていこう。
絢爛豪華な金銀の食器が並ぶ。かなりの物量だが、これでも昔のものは少ないらしい。溶かして再利用したり、ナポレオン戦争時に戦費に変えてしまったりしたんだとか。
銀器コレクションと言いつつ、ガラスや磁器もある。日本人としては、「古伊万里」で1コーナーを確保しているのが驚き。そんな大量に輸出してたんすねえ。
なお、オーストリア側はこれら磁器の購入で結構な金額をはたいた模様。
しかし、何と言っても目玉はこのセンターピースだろう。
1838年、フェルディナント1世のロンバルディア王及びヴェネツィア王としての戴冠式を記念して、ミラノの彫刻家・ルイージ・マンフレディーニの会社(ないし工房)に製作を依頼したという。長さは30mもあり、燭台や人物の像がズラリと並ぶ。
ド派手な金色が鮮やかに輝き、ハプスブルク家の栄光を物語っているかのようだ。
銀器コレクションを見終わったら、ミュージアムショップを通りつつ2階へ。
ここからはシシィ博物館、及びハプスブルク家が実際に生活していたImperial Apartmentsに続いているが、残念ながら撮影禁止だ。しかし、銀器コレクションと同等以上に解説・展示は充実しており、行った価値はあった。
この博物館の主人公たるシシィだが、当初はそれほど人気がなかったらしい。
しかし、「皇后になる」→「宮廷の生活に馴染めない」→「死にたみを感じる」→「暗殺される」という生涯が市民の同情を誘い、悲劇の美女としての地位を築いたのだとか。みんなそういうの好きなんすねえ。
また、ミュンヘンの生まれながら、ハンガリーに対して親愛の情を抱いていた。これが二重帝国成立(アウスグライヒ)を始めとするハンガリー統治の方針にも影響を与えたとのこと。シシィ本人が政治の表舞台に立っていたわけではないが、なかなかの存在感を放っている。
夫のフランツ・ヨーゼフ1世についても詳しく解説されている。
普墺戦争やアウスグライヒ、第一次世界大戦などで翻弄される帝国を、何とか生き永らえさせようと奮闘した旨が強調されており、こちらも国民からの人気は高そうだ。家族思いの一面や、市民との対話が多かったことも併記されている。
また、86歳という長命ながら晩年まで仕事に向かっており、朝はやれ3時だ5時だとかなり早かったようだ。どうして身体が保つんですか?(←二度寝大好きマン)
音楽とメシに抱かれて・リターンズ
博物館を出たのが13時。音声ガイドの解説を聞くだけでも、たっぷり2時間以上のボリュームだった。
この後15時半からはオーケストラ鑑賞だ。元の予定に入れていなかったが、今朝A氏が見つけて予約してくれたのである。その前に腹ごしらえを済ませよう。
リング周辺で店を探すが……安い店が見つからない。上品なホテルのレストランなどが目立ち、学生旅行には少し厳しい価格帯だ。
とはいえ、よそへ移動する時間もないので、ここは料理に拘らず探してみよう。
選んだのがここ、「Mama & der Bulle(Mother & the bull)」。アメリカンな雰囲気のステーキハウスだ。
店員もアメリカンというかやたら陽キャで、「ヤムヤムヤミィ!」とか「どうだ?美味いか?」とかめっちゃ話しかけてくる。楽しい店だ。
お通しのポップコーンをつまみつつ、セルフでお茶を作成。このパターン多いなあ。
ステーキ。肉肉しさがたまらない。
お値段は21.1ユーロで、クレジットカードで支払ったが、この時チップの額も入力する仕組みだった。1割くらいが相場らしいので、キリよく2ユーロを入力。飲食代とまとめて決済した。
腹は、もとい時は満ちた。聴きに行こう。
今回の会場はここ、ウィーン楽友協会。同名の音楽団体が本部として使っている建物で、我々がお邪魔する演奏はGroßer Musikvereinssaal(大ホール)にて行われる。
まずは荷物を預ける。1個ごとに0.85ユーロ取られたので、読者諸君は荷物を減らしてから来るように。上着をカバンに押し込むとか。
それから、スマホを上着に突っ込んだままにしないように。
身軽になったところで大ホールへ。我々の席はホール後方の立見席だが、幸いにも手すりは確保できた。
どうもこの演奏会、「友の会」的なメンバー向けの演奏会らしく、「立ち席で良ければ一般向けの販売もするよ」というスタンスらしい。前方の客は皆着席している。
だもんで、お値段はたったの5ユーロである。荷物預かり6個分。
定刻通りに演奏がスタート。メインの演目はマーラーの交響曲第5番、主催は「Tonkünstler Orchester(トーンキュンストラー管弦楽団)」。首席指揮者(音楽監督)が佐渡裕氏、ピアノがアリス=紗良・オット氏と、日本に縁のあるメンバーがチケットにも記載されている。
全体の流れとしては、「つかみ」の曲をやった後、ベートベンを1時間弱。休憩と楽器入れ替えを挟んでマーラーを1時間程度、で2時間強だ。
だんだんテンションを上げていく構成で、最後はかなり激しい演奏。指揮者もジャンプするほどだった。
写真は禁止っぽいが右も左もパシャパシャしていたり、幕間にはトイレに立った客の場所を横にいた奥様がぶん取ったり、何より2時間立ちっぱで足腰が崩壊したり、丁寧な演奏とは裏腹にカオスな演奏会だった。最後らへん集中できねーべよ。
一方、体力に自信がある人にとってはコストパフォーマンス最高のオーケストラ鑑賞だろう。音楽の都で、存分に音楽に浸ってほしい。
スイーツにも抱かれて
18時を回り、空の青はその明度を落としつつある。だが、今日はもう1件ハシゴしていこう。
ホテル・ザッハーの1階にあるカフェ・ザッハー。ザッハーといえば……そう、ザッハトルテである。
本場だし、昼食はオーストリア要素が薄かったし、少し並んででも食べる価値はあるだろう。看板を揺らすほどの強風の中、30分ほど待つ。
その最中、青いライトを灯したパトカーがサイレン音と共に駆け抜けていった。事件だろうか。
……ふと思い出す。そうだ、ここは海外なのだ。ここまでは比較的順調だったが、何が起こるか分からないのがこの旅行なのだ。つい先日だって、たびレジから銃撃事件のニュースが配信されていたではないか。
慣れとともに警戒心は薄れるもの。今一度、気を引き締めねば。
A氏「海外なんだよねえ」
ぼく「ライト青いしな」
そうじゃねーよ。
ザッハトルテ(7.5ユーロ)とメランジェ(コーヒー、5.9ユーロ)のセットを注文。水も出してくれた。
気になるケーキのお味だが、
うめええええええ!
というか
甘ええええええ!
チョコレート部分がとにかく甘い。ホイップクリームは甘さ控えめなので、これやコーヒー、スポンジ層の間に挟まったジャムで味変しつつ食べていく形になる。
店内が盛況だったのであまり写真を撮れなかったが、座席も白い壁に赤いカーペットやソファが映え、非常にシャレオツだった。
ところで、これはあくまで「スイーツ」なのだが、夕ご飯はどうしようか……。
トラムで少し移動して、
ホットドッグを食べよう。軽食スタンドの「Grillwurst」で、これまた本場のヴルストをいただく。適当に頼んでみたが(確かBurenwurstという種類)、パンもヴルストもでっかい。十二分に腹を膨らませてくれた。
惜しむらくは、周囲が暗くて風が冷たいということ。外で何か食べるタイミングじゃないですね……。
宿への帰路にて、Schottentor停留所を改めてチェック。
上下2層の線路はそれぞれループしていて、方向転換ができるようになっている。また、下層の停留所の背後には地下街が広がっていて、コンビニがあったり、Uバーンの駅へ続いていたりする。
昨日は素通り気味になってしまったが、改めて見ると面白い。ついでに、そのコンビニで水を2本買った。
宿の最寄りまで、今日はトラムで帰ろう。