ワルシャワへ
午前7時。爽やかな朝は銃撃事件のお知らせから始まる。
このプラハ7区というのは技術博物館近辺。つまり、行ったところである。怖すぎる。
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それはさておき、ホテルで朝食にありつく。
白と灰色を基調とした空間に、黄緑や黄色、天窓からの日光がアクセントとして輝く。オシャレな朝食会場だ。
本来であればのんびり食事を楽しみ、クラクフの旧市街を歩き回る予定だったのだが、ワルシャワ行きを急遽決めてしまったので急ぎである。8:45の列車に乗らなくてはならない。
食べたら宿を引き払い、スーツケースを預かってもらって駅へ。
クラクフ中央駅に続くショッピングモール。朝8時台ゆえ、人の姿はまばら。
ということで、今日乗るのがこれ。ポーランドの誇る高速列車、ワルシャワ東駅行きのEIPだ。
車両はペンドリーノのED250型。洗練された流線型の車体が、客車列車の真横に平然と佇んでいる。面白い光景だ。
指定された座席に着く。足置き、コンセント、読書灯、テーブルなどが揃っており、2等車ながら居心地は◎。席番が連番になっていないのが気になるが。
トイレに立っている間に水が配られたらしい。その後ゴミ回収にも乗務員が来てくれるなど、サービスもなかなかだ。
そして、景色はやっぱり平べったい。このEIPは高速新線(ポーランド国鉄4号線)を通っているため、キエルツェやラドムといった都市を通らず、基本的に何もないところをぶっ飛ばしていくのだ。
11:03、快調に飛ばしてきた列車はワルシャワ西駅へ。そこからさらに5~6分ほど走り、
ワルシャワ中央駅に到着。
地下に4面8線のホームが備わっており、クラクフやプラハと比べるとコンパクトな印象を受け警備員「ハロー?」
ぼく「!!??」
警備員「オンリートレイン?」
ぼく「い、いえす」
警備員「OK」
……。
突然、警備員に話しかけられた。列車や駅の写真を撮っていたので、例えば他の乗客をパシャパシャしないよう、牽制してきたのだろう。クッソビビった。
ワルシャワ市内観光1
ひとまず許されたので、外へ出よう。
近代的な駅舎だ。周囲にはビルも多く、街は若さを感じさせる。
駅前の停留所からトラムに乗る。短距離移動のため、1日券などではなく20分券(3.4ズウォティ≒102円)を購入した。ちなみに、クレジットカードを利用。また、車内では忘れずに打刻する。
来た道を少し戻るように、「Pl.Zawiszy 08」停留所へ。ここはワルシャワ中央駅の1つ西隣、ワルシャワオホタ(Warszawa Ochota)駅に近い。
ワルシャワ中央駅前の停留所もそうだが、ナンバー違いの「Pl. Zawiszy ◯◯」停留所が複数あり、トラムの行き先ごとに止まる場所が変わるようだ。
「Warszawa Główna」とある通り、ここは旧ワルシャワ中央駅があった場所だ。そして、現在のワルシャワ中央駅は「Warszawa Centralna」となっている。
入場料は通常料金でも12ズウォティ(≒360円)とお安い。ガバガバセキュリティな手荷物預かり所に若干の不安を覚えつつ展示室へ進む。
模型、写真、実物展示など、様々な形態で所狭しと展示物が並ぶ。英語説明があまりなく、ポーランド語が読めない身ではふいんき雰囲気で見る他無いのが残念だが、物量は十分に用意されている。
が、この博物館で何よりの見どころは大量に並ぶ保存車両だろう。
雨ざらしで保存状態は良くないが、ざっと40~50両程度の車両が勢ぞろいしている。
展示室に近い装甲列車が特に目を引く。ポーランド軍は装甲列車にお熱だったようで、多数の生産・運用実績があるが、ここにいるのはドイツ軍から鹵獲したもののようだ。
手前にいる76mm砲2門を持つ車両(Panzertriebwagen16)と、
ドイツの装甲列車BP42/44の一部として使われた、100mm回転砲塔2つ+機銃6挺を持つ車両。
タイミングが良ければドアを開け、中を見せてくれるようだが、3月はオフシーズンである。それでも、日本国内ではお目にかかれないような展示で、テンションが上がる。
うおお
うおおおお
うおおおおおお
一部の車両は運転室に立ち入ることも可能。ハンドルやレバーは固定されていないが、触っていいのだろうか。ワイパーとか動きそう。
このように、入場料の割にかなり楽しめる施設だった。鉄道好きには間違いなくオススメできるスポットだ。
「鉄分」を満たした。次は食事で鉄分を摂取しよう(?)
またトラムに乗って……
中央駅の少し東へ。「Muzeum Narodowe 05:ナショナルミュージアム」停留所までやってきた。
ダークグレーのゴツい建物はBGK、ポーランドの国家開発銀行。
停留所から歩いて5分、「Kamanda Lwowska(カマンダ・ルボスカ)」という店へ。
ここも「地球の歩き方」に掲載されていた店で、ウクライナ料理が味わえる。2022年にこれでもかと教え込まれた通り、ウクライナはポーランドの隣国だ。また、リヴィウ(Lwów)は、ポーランドにも近いガリツィア地方の都市である。
写真を見ての通り、階段を半階下がって入店するのだが、それに気付かず店の周りをぐるぐるしていたのは内緒。
まずはスープから。同じタイミングでパンも出てきた。
続いてサラダ。でっか。
1人前のつもりで頼んだけど実は2人前とかいうオチですか?
まあいい、野菜も欲しかったし平らげてしまおう。
「定食」を注文できる日本とは違い、ヨーロッパのレストランで野菜を求める場合は、別途サラダを付けないといけないのだ。思えば、昨日のポークカツレツも付け合わせ0だったし。
ということで、今日のメインはこれ。
分厚いステーキ、山盛りのポテト、
ご一緒にサラダ。なんでやねん!
友人の頼んだ肉料理にはサラダ無し(付け合わせはあったが)。なんやこれ。
絶賛満腹ゲージ上昇中の私、ステーキについてきた方のサラダをお譲り。
デザート。だからでけえよ。
分かりづらい写真で申し訳ないが、添えられたフォークはデザート用のサイズじゃない。それこそ先程のステーキ用でも申し分ないサイズだ。
そのフォークで食べるのに不足ないデカさのケーキ。重厚だ。
しかし、さすがは酪農王国ポーランド。デカくて味もしっかり、そのくせ腹を圧迫しない、非常に完成度の高いチーズケーキだ。別腹にスッと収まる。
チーズケーキはポーランド発祥との噂もあるが、信じたくもなる逸品だった(メニューにはウィーン(風)のチーズケーキって書いてあった気がするけど)。
そして、これだけ頼んでも4000円に届くか届かないかといったところ。これがプチ贅沢ってやつですか。最高か?
ワルシャワ市内観光2
腹も十二分に満ちたので、観光を再開する。1人で。
そう、ここに来て我々は初の「1人旅」を実行するのだ。
現在時刻は15時。帰りの列車(EIP)までの2時間半ほどを使って、A氏はショパン博物館へ。私は軍事博物館へ。それぞれ見たいところが違ったので、自由行動してやろうということだ。
5分ほど歩いて軍事博物館の敷地へ。
戦車に……
航空機に……
火砲まで。
あるわあるわ、野外展示の多さにまずはびっくり。しかもここ、野外展示だけなら無料らしい。なんとまあ太っ腹な。
内部の写真は無し。撮っていいか不明だったので……。
ただ、中世~WW2に至るまでのポーランドの歴史が紹介されており、騎士の鎧や槍、近代的な小銃や軍服、日用品、勲章、絵画など、実に様々なアイテムが並んでいた。博物館内には1時間半の滞在だったが、早足気味に回って何とか見終わるかというところ。見ごたえがあった。
鉄道博物館同様、英語解説が無い展示も多かったが、どの展示室もアイテム中心なので、ポーランド語が読めなくてもOK。
あと、展示室内の係員(監視員)が平然とスマホいじってた。日本人なら良くも悪くもマジメに監視しているやろなあ。
入場料は大人15ズウォティだが、当時学生の私は8ズウォティ(≒240円)。お得しか感じねえな?
食事も観光もグッド、楽しいワルシャワの滞在は終わりに近づいてきた。
ショパン博物館を堪能したであろう友人と再び合流し、ワルシャワ中央駅に戻る。17時前で、日が傾いてきている。
中央駅前の文化科学宮殿やビル群も、やがて夜の闇に溶け行くだろう。
ワルシャワ中央駅前は道幅が広く、その分空も広い。何だか清々しい気分でクラクフへの帰路に就く。
帰りも同じEIPに乗車。なお、進行方向後ろ向きの座席だった模様。回転させてえ。
行き同様、無料のドリンクサービス。コーヒーを頼んだところ、お湯と粉コーヒーが別々に出てきた。セルフで作ろう。
優雅なコーヒータイムを提供しつつ、列車はクラクフへとひた走るのであった。
再びの夜行列車
20時過ぎ。何事もなくクラクフ中央駅へ帰還。
この後はハンガリーの首都・ブダペストを目指して、夜行列車2回戦だ。出発まで2時間半あるので、駅などで時間を潰す。
ちょうど、写真を保存していたmicroSDカードの容量が不足してきたので、駅構内にある家電量販店でお買い上げ。
他、スーパーでお土産や軽い夕食を物色した。中には0.30ズウォティとかいう値札が見えていたが気のせいだろう。パン1個10円……?
宿からは忘れずスーツケースを回収。フロントのお兄さんが日本語で挨拶してくれてほっこり。なお、ポーランド国内で我々自身以外の日本語を聞いたのは、これが唯一だった。
22:30、本日のお宿が入線。出発は22:36なので、停車時間は長くない。撮影もそこそこに出発する。
当列車の始発はワルシャワなので、ハナっからワルシャワ行きを旅程に組み込んでおけば、じっくり写真を撮れたのだが。
何故かハシゴがベッドの反対側の壁(=隣の部屋との仕切り)部分についており、ハシゴ~上段は距離がある。
本来は外して使うのだろうか?下段はスーツケースが邪魔でスペースが無いため、私は頑張って飛び乗っていたが。
戸棚を開けると、水とパンが入っていた。これが朝食ということらしい。
チェコ鉄道の朝食サービスに比べると簡素だが、あるのは嬉しい。夕食や夜食にもできそうだ。
ぼくの夕食はこれなんですけどね。
「スープ+パン+サラダ2人前+でかステーキ+チーズケーキ2人前」なんて昼食を取ったせいで腹が膨れっぱなしなのである。
この列車にはシャワー設備も無かったため、私は寝台列車での眠りを堪能するべく横になるのであった。
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